子育てに疲れた、一人になりたい。それは逃げじゃなく、心のコップが空になったサイン

子育てに疲れた、一人になりたい。それは逃げじゃなく、心のコップが空になったサイン

子育てに疲れた。一人になりたい。誰にも話しかけられない場所に、1時間でいいから行きたい。

そう思ったあとに、「母親なのに、こんなこと思っちゃダメだ」と自分を責めていませんか。こんにちは。NPO法人ママライフバランス代表の上条厚子(あっちゃん)です。先に、はっきり言わせてください。「一人になりたい」は、逃げでも母親失格でもありません。心のコップが空になった、というサインです。

「一人になりたい」と思う自分は、おかしくない

私は長女を出産してから、「母親なんだから自分のことは後回しで当たり前」と頑張り続けていました。本当は笑顔でいたいのに、気づけば怒っている。子どもはかわいいはずなのに、かわいいと思える余裕がない。夜、寝顔を見ながら「今日も怒っちゃったな」と自己嫌悪。その繰り返しの先で、2015年の秋、産後うつと診断されました。

いま振り返ると、「一人になりたい」と思った時点で、もっと早く「わたし」の時間を取ればよかった。立ち止まってみればよかった。あれは、心と体からの正直なサインだったんです。

人は、心と体が満たされていないと、やさしくなれないようにできています。食べる、眠る、ひと息つく。この土台がマイナスの状態で生活を続ければ、誰でもパンクしてしまいます。「一人になりたい」は、わがままではなく、土台を立て直してという心と体の悲鳴なんです。

なぜ、子育てはこんなに疲れるのか

終わりがなく、評価されない

仕事なら「今日はここまで」があります。子育てにはそれがない。しかも、やって当たり前、できて当たり前、できないと責められる。「終わり」が見えないまま積み上がっていくので、疲れきっている自分に自分でも気がつきにくいんです。

「私だけ」になりやすい

実家が遠い、夫の帰りが遅い、日中に大人と話さない。子育てが孤独なのは、いまの社会の構造です。孤立した子育てを「孤育て」と呼ぶ言葉が生まれるくらい、多くの家庭が同じ状況にいます。

「ちゃんとやらなきゃ」が、疲れを慢性化させる

自分では無自覚でも「母親はこうあるべき」というメガネを、ほとんどの女性はかけています。「私はそんなことないです!」という女性も“無自覚”状態だった。ということがよくあります。私のしんどさの正体も、結局はこのメガネでした。私が、頑張りすぎて慢性疲労に陥っているのに休めなかったのは、「ちゃんとしたお母さんでいたい」という呪縛があったからでした。

一人の時間を、罪悪感なくつくる3つの方法

1. 「一人になりたい」を、そのまま言葉にして頼む

「察して」は届きません。夫に、親に、「土曜の午前中、2時間だけ一人の時間がほしい」と、時間とリクエストの内容を具体的に言葉にすること。

2. 頼れるものを「サービス」として使う

一時保育、ファミリーサポート、自治体の産後ケア、地域の子育て支援拠点。「用事もないのに人にあずけるなんて」と思うかもしれませんが、これは自分を正常に保つための必要な時間です。私たちが名古屋市で運営している子育て支援拠点にも、「少し話したくて」と来てくださる方がたくさんいます。それでいいんです。

3. 10分の「自分を満たす行動」を、毎日に埋め込む

まとまった時間がとれない日は、10分でもOK。あたたかいお茶をお気に入りのマグに淹れて座って飲む。好きな音楽を1曲、イヤホンで聴く。布団に入ったときにゆっくりゆっくり深呼吸をする。家事を後回しにして、ソファで10分横になる。

あっちゃんメモ:ひとつやるなら、ひとつ手放す

一人の時間をつくるために、頑張りを増やさないでください。「10分お茶を飲む代わりに、今日は洗濯物をたたまない」。優先度を上げるには、何かの優先度を下げるしかありません。受講生さんの中には、優先順位が「①子ども②夫③周り④自分」から「①自分②子ども③夫④周り」に自然に変わって、気持ちに余裕が生まれたという方がいます。自分が満たされていると、家族にやさしくなれるんです。

「母親に向いていない」と思う夜に

疲れがピークのとき、「私は母親に向いていない」という言葉が浮かぶことがあります。でも、向き不向きではありません。自分の心のコップが空なだけです。

講座の卒業アンケートに、こんな声がありました。「頑張らないありのままの私を認められるようになったら、頑張れない子どものこともイライラせず受け入れられるようになった」。「子育て向いていない」と思っていた人が、ありのままの自分にOKを出せるようになった瞬間に、子どもとの関係まで変わっていきます。ママバラの卒業生は、たくさんこの変化を体感しています。

疲れが「消えたい」に近づいているとき

「一人になりたい」が、「消えてしまいたい」「いなくなりたい」に近づいているなら、それは休息だけでは戻らないサインかもしれません。私は専門家ではありませんが、産後うつを経験した者として、ここだけはお願いします。この状態の方は、ひとりで抱えず、専門の人の力を借りてください。

  • かかりつけの産婦人科、お住まいの自治体の保健センター
  • よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)
  • 自分や子どもを傷つけてしまいそうなとき:児童相談所虐待対応ダイヤル 189(責められる場所ではありません)

よくある質問

子育て中、一人になりたい時はどうしたらいいですか?

「一人になりたい」は心のコップが空になったサインなので、まず休むことへの罪悪感を手放してください。夫や親に時間と内容を具体的に頼む、一時保育や自治体の産後ケアなどのサービスを使う、10分の自分を満たす行動を毎日に埋め込む、の3つをすすめています。

疲れて一人になりたいと思うのは、母親として失格ですか?

いいえ。人は心と体が満たされていないとやさしくなれないようにできています。「一人になりたい」は、土台を立て直してほしいという体の正直な声で、わがままでも逃げでもありません。

子育てで一番きつい時期はいつですか?

人によりますが、睡眠が細切れになる0歳代と、言葉が通じそうで通じないイヤイヤ期に「きつい」と感じる方が多いです。小学生になっても、関わり方が変わる時期にまた疲れが出ることがあります。どの時期も、ママの関わり方が悪いからではありません。

子育てが孤独でつらいです。ママ友がいません。

孤独は人付き合いの上手下手ではなく、実家が遠い・日中に大人と話せる環境がない。といった社会の構造から生まれます。ママ友でなくても、地域の子育て支援拠点や、同じ思いの人が集まるオンラインの場に一歩出るだけで「私だけじゃなかった」と軽くなることも多いです。自分に合った接点・機会は必ずあります。

「消えたい」と思うほど疲れています。どこに相談すればいいですか?

かかりつけの産婦人科やお住まいの自治体の保健センター、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間無料)に相談してください。自分や子どもを傷つけてしまいそうなときは児童相談所虐待対応ダイヤル189へ。

まとめ:いいお母さんを、ちょっとだけやめてみる

「一人になりたい」は、逃げではなくサインです。言葉にして頼む、サービスを使う、10分だけ自分のための時間を持つ。そのかわり、何かひとつ手放す。「いいお母さん」をちょっとだけやめて、「幸せなお母さん」のほうへ。それがめぐりめぐって、子どもの笑顔に繋がる。と、私は思っています。

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眠れない、涙が止まらない、といった状態が続いている方は、育児ノイローゼかも?と思ったらのセルフチェックと相談先も見てみてください。

この記事を書いた人

NPO法人ママライフバランス 代表理事。1981年生まれ、2児の母。自身の産後うつの経験から、「ちゃんと」より「自分らしく」子育てできるパパ・ママを増やすために2016年に起業し、2020年にNPO法人化。のべ1万人の悩みに向き合い、産前教育「親のがっこう」も主宰。現在は企業の男性育休・女性活躍推進も支援しています。
【おもな役職・登録】
厚生労働省 共育(トモイク)プロジェクト推進委員、名古屋市 男女平等参画推進委員、政策提言プラットフォーム「PoliPoli」有識者登録、NewsPicks エキスパート登録 ほか