赤ちゃんが生まれてから、夫の一言にカッとなる。手伝いに来てくれた実母や義母に、なぜか触ってほしくない。「私、こんなに攻撃的な人だったっけ」と、自分がこわくなる。
こんにちは。NPO法人ママライフバランス代表の上条厚子(あっちゃん)です。先にお伝えさせてください。それは、あなたの性格が変わったわけでも、優しくない人になったわけでもありません。産後の体と脳が、そうなるようにできている時期なんですね。
この記事では、「ガルガル期」と呼ばれるこの時期について、いつからいつまで続くのか、なぜ起きるのか、そして夫や家族にどう伝えればいいのかを、私自身の経験と講座でお話ししている内容からお伝えします。
ガルガル期とは?
ガルガル期とは、出産後のママが、夫や実母・義母、ときには親しい友人に対しても強い警戒心やイライラを感じやすくなる時期を指す言葉です。動物のお母さんが子どもを守るために「ガルル」と威嚇する様子になぞらえた呼び方で、医学的な診断名ではありません。
よくあるのは、こんな場面です。
- 夫が赤ちゃんを抱っこする手つきに、イラッとしてしまう
- 義母が「私のときはこうだった」と言うだけで、心がざわつく
- 実母の手伝いさえ「触らないで」と思ってしまう
- 赤ちゃんのにおいや音に敏感になり、他人に近づかれるのがいや
読んでいて「全部あてはまる」と思った方。大丈夫です。あなただけではありません。
ガルガル期はいつからいつまで続く?
個人差が大きいのですが、多くの方が「産後すぐから数週間〜数か月」の間に経験すると言われています。目安として、夜間授乳が落ち着いてくるころ、つまり生後半年から1年くらいまでに、だんだんやわらいでいく方が多いようです。
ただ、ここで大事なことがひとつ。「いつまで」の答えは、時期そのものより、ママの心と体がどれくらい回復しているかで変わります。寝不足が続いていたり、頼れる人がいなかったりすると、長引きやすいんですね。
なぜ起きる?ホルモンと寝不足が重なる時期だから
私は講座で、産後の夫婦関係の話をするときに、必ずこうお伝えしています。産後のママは「理性で感情をコントロールできない時期」があります、と。
出産を境に、妊娠中に高まっていたホルモンのバランスが急激に変わります。そこに、細切れの睡眠と夜間授乳が重なる。人は、寝ていないだけで、ふだんなら流せることに腹が立つようにできています。これは性格の問題ではなく、体の仕組みの問題なんですね。
さらに、生まれたばかりの命を守らなければという本能が、周りの人を「赤ちゃんに近づく存在」として警戒させます。守りたい気持ちが強いほど、威嚇のスイッチも入りやすい。つまりガルガル期は、あなたが赤ちゃんをちゃんと守ろうとしている証拠でもあるんです。
私がいつもお話しする「心のコップ」で言うと、産後はコップに穴が開いているような状態です。どれだけ愛情を注ごうとしても、寝不足とホルモンの変化で、自分の分がどんどん漏れていく。空っぽのコップからは、家族にやさしさを注げません。イライラは「あなたを責める声」ではなく、「コップが空だよ」というサインなんですね。
ガルガル期になりやすい人はいる?
「なりやすい人」という聞かれ方をよくしますが、私は「なりやすい状況」で考えたほうがいいと思っています。
- まとまって眠れていない。夜間授乳やワンオペで、睡眠が細切れになっている
- 「ちゃんとやらなきゃ」が強い。完璧にお世話しようとするほど、他人のやり方が気になる
- 頼れる人が少ない。ひとりで抱えていると、手伝いさえ「侵入」に感じやすい
- 本音を我慢している。言いたいことを飲み込んでいる人ほど、イライラが外に出やすい
最後のひとつは、心理学でいう「抑圧」の話です。私は講座で「きょうだい喧嘩を見てイライラするのは、喧嘩そのものより、本音を我慢している自分のほうに原因がある」とお話ししています。ガルガル期も同じで、「私ばっかり」「わかってほしい」を飲み込んでいる人ほど、周りの人の何気ない一言に反応してしまうんですね。
夫・義母・実母にどう伝える?
夫には「冷静なときに、前提を伝えておく」
私が講座でおすすめしているのは、イライラの最中ではなく、落ち着いているときに、こう伝えておくことです。
「いま、ホルモンと寝不足で、理性で感情をコントロールしにくい時期なの。言い方がきつくなったり、配慮が足りない日があると思う。あなたのことが嫌いになったわけじゃないから、先にごめんね」
男性と女性では、脳の働き方や感情の処理のしかたに違いがあると言われています。夫は「察する」のが苦手なことが多いので、「察して」と待つより、こうして言葉で前提を渡しておくほうが、おたがいがラクになります。
義母・実母には「お願いしたいこと」を1つだけ具体的に
「手伝いたい」という気持ちは本物でも、やり方が合わないとお互いにつらいですよね。だから、「赤ちゃんのお世話は私がやるので、夕飯を作ってもらえると助かります」のように、してほしいことを、具体的にお願いしてみてください。断るより、お願いのほうが角が立ちません。
自分には「ひとつやるなら、ひとつ手放す」
この時期に「もっと頑張って穏やかにならなきゃ」と頑張りを増やすのは逆効果です。私が受講生さんにお伝えしているのは、優先度を上げるなら、何かの優先度を下げる、ということ。「今日は洗濯物をたたまない。その分、10分横になる」。それくらいでいいんです。
ガルガル期が長引く、気持ちの落ち込みが強いとき
私自身は、2015年の秋に産後うつと診断されました。ガルガル期のイライラと、気持ちの落ち込みは、重なって出ることがあります。次のような状態が2週間以上続くときは、ひとりで抱えず、かかりつけの産婦人科やお住まいの自治体の保健センターに相談してください。私は専門家ではありませんが、相談することは弱さではなく、自分を大切にする一歩だと思っています。
- 眠れるはずの時間にも眠れない、食欲がない
- 涙が止まらない、何をしても楽しくない
- 赤ちゃんをかわいいと思えない自分を、強く責めてしまう
- 消えてしまいたい気持ちが出てくる
電話で話したいときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)があります。
よくある質問
- ガルガル期とは、どういう意味ですか?
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出産後のママが、夫や実母・義母など周囲の人に対して強い警戒心やイライラを感じやすくなる時期を指す俗称です。動物の母親が子を守るために威嚇する様子にたとえた言葉で、医学的な診断名ではありません。
- ガルガル期はいつからいつまで続きますか?
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産後すぐから始まり、数週間から数か月で落ち着く方が多いと言われています。夜間授乳が減り、まとまって眠れるようになるころにやわらぐ傾向がありますが、睡眠不足や頼れる人の少なさが続くと長引きやすくなります。
- ガルガル期になりやすい人の特徴は?
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性格より状況の影響が大きいと考えています。まとまって眠れていない、「ちゃんとやらなきゃ」が強い、頼れる人が少ない、本音を我慢している、という状況が重なるほど強く出やすくなります。
- 夫にイライラしてしまう自分がいやです。どうすればいいですか?
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イライラは「心のコップが空」というサインで、あなたが優しくないからではありません。落ち着いているときに「いまは感情をコントロールしにくい時期だから、先にごめんね」と前提を伝えておくと、おたがいがラクになります。
- ガルガル期と産後うつは違いますか?
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ガルガル期は周囲へのイライラや警戒心が中心で、多くは自然にやわらぎます。眠れない、涙が止まらない、消えたい気持ちなどが2週間以上続く場合は産後うつの可能性もあるため、産婦人科や自治体の保健センターに相談してください。
まとめ:あなたは悪くない。コップを満たすことから
ガルガル期は、ホルモンと寝不足と、赤ちゃんを守ろうとする本能が重なって起きる、体の仕組みです。あなたの性格が変わったのでも、家族を嫌いになったのでもありません。
まずは、自分のコップの状態を知ることから。30秒で、いまのあなたのイライラがどのタイプなのかと、タイプ別の「心がラクになるヒント」がわかります。登録はいりません。
産後の夫婦関係がうまくいかないと感じている方は、産後クライシスとは?「妻が悪い」のではなく、脳と環境の話もあわせて読んでみてください。妊娠中の方には、産後に備える無料のプレママ講座もあります。

